日本橋あたり 長谷川時雨 青空文庫より〜

日本橋あたり 長谷川時雨 青空文庫より〜  その時分、白米の價あたひが、一等米圓に七升一合、三等米七升七合、五等米八升七合。お湯錢が大人おとな二錢か一錢五厘といふと、私は、たいした經濟觀念の鋭い小娘であつたやうであるが、お膳の前へ坐ると、頂きますとお辭儀じぎをするし、お終ひになると、御馳走さまといつたり、さうでもないと、默つて一禮して、お膳を下さげてもらうといつた、お行儀はよいが、世の…

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日本橋附近 田山花袋 青空文庫より~

日本橋附近 田山花袋 青空文庫より〜 一  日本橋附近は変ってしまったものだ。もはやあのあたりには昔のさまは見出せない。江戸時代はおろか明治時代の面影をもそこにはっきりと思い浮べることは困難だ。  あのさびた掘割の水にももはやあの並蔵の白さはうつらなかった。あれがあるために、あのきたない水も詩になったり絵になったりしたのに……。それでも去年の暮だったか、あの橋の上を歩いていると、かしま…

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