花火と大川端 長谷川時雨 青空文庫より~

花火と大川端 長谷川時雨 青空文庫より〜  花火といふ遊びは、金を飛散させてしまふところに多分の快味があるのだから、經濟の豐なほど豪宕壯觀なわけだ。私といふ子供がはじめて記憶した兩國川開きの花火は、明治二十年位のことだから、廣告花火もあつたではあらうが、資本力の充實した今日から見れば、三業組合――花柳界の支出費だけで、大仕掛のものはすくなかつた。  江戸時代の川開きとは、納凉船が集つ…

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大川ばた 長谷川時雨 青空文庫より~

大川ばた 長谷川時雨 青空文庫より〜  大川は、東京下町を兩斷して、まつすぐに流れてゐる。  その古の相貌は、まことに美しい潮入り川で、蘆荻ところどころ、むさしの側は、丘は鬱蒼として、下總野しもふさのの、かつしかあがたは、雲手くもでの水に水郷となり、牛島の御牧みまきには牛馬が放牧されてゐた。北には筑波が朝紫に、西に富士はくれなゐの夕照ゆふばえにくつきりと白く、東南に安房上總は青黛のや…

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